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宮崎地方裁判所都城支部 昭和57年(ワ)213号 判決 1989年1月20日

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は、原告に対し、金二億円及びこれに対する昭和五七年一一月一七日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

主文同旨

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  当事者等

(一) 原告は、大型シート、陸海用各種袋等の製造、販売を業とする会社であるところ、昭和五四年一一月頃、漁業用の袋、レジャーシート等を織布から一貫して生産できる工場の建設を計画し、その頃、中小企業金融公庫(以下中金公庫という)に金六〇〇〇万円の融資を申し込み、宮崎県えびの市内に工場用地を求めていた。

(二) 被告は、信用金庫であるところ、当時、経営不振に陥っていた訴外株式会社えびのソーイング(以下訴外えびのソーイングという)に対する約二〇〇〇万円の貸付金債権の回収を図るため、右債権を担保するために被告が根抵当権を設定していた訴外株式会社ヨシクニ(以下訴外ヨシクニという)所有名義の別紙第一物件目録記載一ないし四の土地(以下本件土地という)及び同目録記載五の建物(以下本件建物という。本件土地及び本件建物を合わせて以下本件物件という)を売却することを企図し、被告の永久井通雄本店融資課長(以下永久井融資課長という)及び堀正信飯野支店長(以下堀支店長という)が、原告に対し、本件物件を工場用地及び工場用建物として購入するよう強く勧めた。

2  債務不履行

(一) 永久井融資課長及び堀支店長は、原告代表者代表取締役福島實(以下原告代表者という)に対し、本件物件の購入代金及び原告の運転資金は被告の方で面倒を見ると約束し、なお、本件建物については、訴外吉川ミツシ(以下訴外吉川という)が賃借し縫製工場として使用していたが、右賃貸借関係についても被告の方で責任をもって解消させ、原告の操業の妨げになることがないようにする旨約した。

(二) 原告代表者は、昭和五四年一二月上旬頃、永久井融資課長から借入申込書等の提出を求められ、金六〇〇〇万円の借入申込書及び設備機械等の事業計画書を提出した。

原告代表者は、昭和五四年一二月一四日、永久井融資課長の求めに応じて中金公庫に赴き交渉した結果、同金庫から金三〇〇〇万円の融資を受けられることになった。

そして、この時、永久井融資課長は、原告代表者に対し、残りの金三〇〇〇万円については、被告が責任をもって融資する旨約した。

中金公庫の原告に対する融資は、被告の協調融資が前提であったから、被告については、中金公庫から融資がなされるときに、原告に対し、金三〇〇〇万円を貸し付けるべき義務が生じた。

(三) その後、本件物件の価格が当初予定されていた金三〇〇〇万円より値上げされて金三五〇〇万円となったが、原告は、被告の斡旋により中金公庫から金三五〇〇万円の融資を受けられることになり、昭和五五年四月八日、訴外ヨシクニから本件物件を買い受け、所有権移転登記を経由した。

(四) ところが、被告は、原告に対し、金三〇〇〇万円の融資を行わず、かつ、被告の責任において行う旨約していた前記訴外吉川の賃借権消滅の処理もしなかった。

(五) 原告が操業及び運転資金に窮していたところ、永久井融資課長は、昭和五五年一〇月上旬頃、原告に対し、不動産を担保に供すれば金五〇〇〇万円を融資する旨約した。

そこで、原告代表者は、その友人である訴外上原忠雄(以下訴外上原という)所有の別紙第二物件目録記載一の土地及び同目録記載二の建物(以下これらを本件不動産という)を担保に供することとし、昭和五五年一〇月一四日には、永久井融資課長から担保価値は十分である旨の調査、確認を受けて、同年一〇月末頃、原告の事務所において、本件不動産を目的として極度額を金四〇〇〇万円とする根抵当権設定契約を締結し、同年一一月一九日、右根抵当権設定登記(以下本件根抵当権設定登記という)を経由した。

被告においては、融資決定をする以前に抵当権設定契約を締結することはなく、抵当権設定登記手続をすることは、融資決定がなされたことを前提とするものであるから、本件根抵当権設定登記手続の完了した昭和五五年一一月一九日当時には、被告は原告に対し、金五〇〇〇万円の融資をなすべき義務が発生した。

ところが、被告は、原告に対し、遂に金五〇〇〇万円の融資をすることがなかった。

3  不法行為

仮に、被告の前記債務不履行の事実が認められないとしても、

(一) 被告は、前記のとおり、訴外えびのソーイングに対する約金二〇〇〇万円の貸付金債権の回収を図るべく、被告のために根抵当権が設定されていた本件物件を売却する必要に迫られていた。

(二) そこで、被告は、原告に本件物件を購入させようと画策し、中金公庫から融資を受けさせてこれを本件物件の購入代金に充当させるべく、永久井融資課長が昭和五二年一二月一四日、原告に対し、中金公庫から金三〇〇〇万円の融資を斡旋し、その際、協調融資として被告からも金三〇〇〇万円を貸し付ける旨約束した。

(三) しかしながら、原告が、昭和五四年一一月末頃、本件物件について、その所有者及び負担の有無等を調べるため、被告に対し、登記簿謄本を見せるよう要求したところ、永久井融資課長及び堀支店長は、これを拒否し、かつ、本件建物を訴外吉川が賃借して操業中であり、同訴外人が容易に立ち退かない事情を知りながら、これを隠そうとした。

(四) 結局、金三〇〇〇万円を貸し付ける旨の前記約束は、被告の訴外えびのソーイングに対する貸付金債権を回収する目的に出たもので、永久井融資課長は、真実は右金員を融資する意思がないのに、あるように装って原告代表者を欺罔し、その旨誤信させた。

(五) また、永久井融資課長は、前記のとおり、昭和五五年一〇月上旬頃、原告代表者に対し、真実は融資する意思がなかったにも拘わらず、不動産を担保に供すれば金五〇〇〇万円を融資する旨申し向けて欺罔し、その旨誤信した原告代表者が本件根抵当権設定登記を経由したにも拘らず、右融資をしなかったものである。

4  被告の責任

原告は、被告の前記融資約束ないし融資する旨の詐言を信じ、真実融資が受けられるものと誤信して、昭和五五年四月八日、本件不動産を買い受け、永久井融資課長の助言を得て、設備機械や原料を仕入れ、操業準備を行ったが、結局、被告からの運転資金の融資がなかったため昭和五四年一二月中旬以降操業不能となり、昭和五五年一〇月末には事実上倒産するに至ったのであるから、被告には、債務不履行または不法行為に基づき、原告が操業不能により被った次の損害を賠償すべき責任がある。

5  損害

(一) 機械設備、原料代等 金一八五三万三二三〇円

(1) 自動熱切断機の契約金 金一五〇万円

(2) 高周波接着機等を全く利用できなかったことによる購入代金相当額 金五六二万七四三〇円

(3) 加工用糸の仕入れ代金 金三六〇万八六〇〇円

(4) 付設工場設備工事代金 金七七九万七二〇〇円

(二) 被告が本件建物から賃借人を立ち退かせなかったため、已むなく原告が支払った移転料相当損害金 金八〇〇万円

(三) 受注済加工取引契約による利益 金二億九七五二万三〇〇〇円

原告は、本件物件の取得に伴う操業開始に備えて、昭和五四年秋頃から昭和五六年までに、土嚢、レジャーシート等を大量に受注していた。その主な取引先、受注額は次のとおりであり、右受注額の四割が原告の得べかりし利得となる。

大阪市 豊田商店 金四二〇〇万円

西脇市 明正織布株式会社 金四七〇〇万円

大阪市 光洋商事株式会社 金四九〇〇万円

宮崎市 宮崎製袋工業株式会社 金四億九七〇〇万円

大阪市 岩谷産業株式会社 金八七八八万七〇〇〇円

京都府舞鶴市 京都府漁業協同組合連合会 金一六五七万一五〇〇円

福井県高浜町 新日本海事工業株式会社 金一五八万一五〇〇円

鹿児島県大隅町 鹿児島県建設業協会曽於支部 金二七六万円

6  よって、原告は、被告に対し、債務不履行または不法行為に基づく損害賠償として、前記損害のうち金二億円及びこれに対する債務不履行または不法行為の日の後である昭和五七年一一月一七日から支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1の事実について

(一)のうち、原告の中金公庫に対する融資申込額が金六〇〇〇万円であることは知らず、その余は認める。但し、原告の工場は、当時、小林市大字真方字堅田原の住宅地の中にあり、騒音対策がなされていなかったので、地域住民との間で紛争を生じ、工場移転の必要に迫られており、そのために原告は、自ら積極的に小林市、えびの市方面に工場用地を物色していたものである。

(二)のうち、被告が信用金庫であること及び被告が本件物件に対し根抵当権を設定していたことを認め、その余は否認する。但し、本件物件については、被告の根抵当権設定登記後、所有者であった訴外岡野明(訴外えびのソーイング代表取締役、以下訴外岡野という)から訴外ヨシクニに対し代物弁済を原因として所有権移転登記が経由されたが、その後、右登記原因の無効を主張して訴外岡野から訴外ヨシクニに対し所有権移転登記抹消登記手続を求めて訴が提起され、これに基づく予告登記がなされたので被告としては根抵当権実行手続も円滑にできない状態にあったところ、偶々本件物件を原告に売却する話が持ち上がったため、堀支店長が訴外岡野と訴外ヨシクニとの仲に立ち、売買契約を成立させるために幾何か寄与したことはある。

2  同2の事実について

(一)のうち、本件建物につき訴外吉川の賃借権が存在していたことを認め、その余は否認する。

(二)のうち、永久井融資課長が、原告代表者の要請に応じ、昭和五四年一二月、同人を中金公庫宮崎支店へ案内し、同人が交渉した結果中金公庫から金三〇〇〇万円の融資を受けられることになったことは認め、その余は否認する。

(三)は認める。但し、本件物件の値上後の売買価額は金三四五〇万円である。

(四)は認める。但し、被告が、原告に対し、訴外吉川の賃借権を消滅させる旨約したことはない。

(五)のうち、本件不動産に本件根抵当権設定登記が経由されたこと及び被告が、原告に対し、金五〇〇〇万円の融資をしなかったことを認め、その余は否認する。なお、本件根抵当権設定登記は、被告の永久井融資課長が、原告代表者に対し、昭和五五年一〇月三〇日、「被告の保証により原告に対する訴外第一生命保険相互会社(以下訴外第一生命という)からの融資を受けられるかも知れないのでその手続を進めてみる。被告の本部の承認が得られれば本件不動産に直ちに根抵当権を設定して貰うからその準備だけしておいて呉れ。正式融資が決定した段階で改めて連絡するから、それから根抵当権設定登記手続にかかるように。」と指示し、所要の根抵当権設定契約証書、被告の登記申請委任状を交付しておいたところ、原告代表者が融資決定を待たずに早まって右書類を訴外上原に交付し、同訴外人が登記手続をした結果経由されたものである。

3  同3の事実は全部否認する。

4  同4の主張は争う。

5  同5の事実は知らない。

6  同6の主張は争う。

第三  証拠<省略>

理由

一  請求原因1(当事者等)について

原告が、大型シート、陸海用各種袋等の製造、販売を業とする会社であり、昭和五四年一一月頃、漁業用の袋、レジャーシート等を織布から一貫して生産できる工場の建設を計画し、その頃、中金公庫に融資を申し込み、えびの市内に工場用地を求めていたこと及び信用金庫である被告が本件物件に対し根抵当権を設定していたことは、当事者間に争いがない。

そして、原告は、本件物件の売買契約は、右根抵当権の被担保債権である貸付金債権を何とか回収しようと企図した被告が、原告に対し、融資をする等の甘言を弄して強引に押しつけた結果成立したものである旨主張するので、この点について検討する。

まず、右争いのない事実及び<証拠>によれば、被告は、原告に対し、昭和五四年一一月当時、約金二〇〇〇万円の貸付金債権を有していたが、これは総て被告の飯野支店が貸し付けたものであること、被告は、昭和五〇年九月二日、訴外えびのソーイング所有の本件建物及び訴外えびのソーイングの代表取締役である訴外岡野明(以下訴外岡野という)所有の本件土地について極度額を金一七〇〇万円とする根抵当権設定登記を経由したこと、その後、訴外えびのソーイング及び訴外岡野は、訴外ヨシクニに対し、本件物件について代物弁済を原因として所有権移転登記をしたこと、ところが、訴外えびのソーイング及び訴外岡野は、昭和五四年四月一六日、訴外ヨシクニに対し、右登記原因の無効を主張して所有権移転登記抹消手続を求めて訴を提起し、これに伴って、同年同月一九日、予告登記がなされたこと、訴外堀正信は、被告の飯野支店長として、被告の訴外えびのソーイングに対する前記貸付金債権を回収することに腐心していたが、右予告登記により被告の根抵当権実行の手続が思うように進行しない状況になっていたため、訴外えびのソーイング及び訴外岡野と訴外ヨシクニとの間を仲介し、本件物件を第三者に任意売却してその売却代金を訴外えびのソーイング及び訴外岡野と訴外ヨシクニに適宜分配し、訴外えびのソーイング及び訴外岡野にたいする分配金から被告の前記貸付金債権を回収すべく努力し、その結果、訴外ヨシクニと原告との間に、昭和五五年四月八日、本件物件の売買契約が締結されたことが、それぞれ認められる。

他方、前記争いのない事実及び<証拠>によれば、原告は、小林市大字真方字堅田原に本工場を、同市千石原に分工場を、それぞれ所有していたが、右本工場は住宅街の中に位置して近隣住民から騒音に対する苦情が頻繁にあり、原告としても漁業用の袋、レジャーシート等を織布から一貫して生産できる工場の新設を希望していたことから、昭和五四年七月頃、原告代表者が被告本店に永久井融資課長を訪ね、工場の移転先を探しているので信頼できる不動産業者を紹介して欲しい旨依頼したこと、また、原告代表者は、寿不動産こと訴外庵下勝男(以下訴外庵下という)に対し、妻の郷里であるえびの市に錦を飾りたいので同市内に新設工場用地を求めたい旨述べて、右用地の紹介を依頼したこと、原告代表者は、昭和五四年一〇月頃、訴外庵下の斡旋したえびの市上江所在の永井砂利会社所有の土地を見分に出かけ、また、同年一一月頃には、被告の本部役員ら、本店長、永久井融資課長らと共に小林市大字北西方の土地の見分に赴いたが、いずれの土地も、原告代表者の意に副わなかったり工場用地としては不適当であったりしたため、原告が購入するには至らなかったこと、堀支店長は、訴外庵下に対し、予て、訴外えびのソーイング及び訴外岡野と訴外ヨシクニとの間に所有権争いが終わり次第本件物件の購入希望者がいたら紹介して呉れるように頼んでいたが、原告代表者が訴外庵下に工場用地購入の斡旋を依頼していることを聞き及び、昭和五四年一一月頃、訴外庵下に対し、右工場用地として本件物件はどうかと打診してみたこと、これを受けた訴外庵下は、昭和五四年一一月末頃、原告代表者に連絡し、昭和五五年一月中旬頃、同訴外人方に、堀支店長、原告代表者、原告従業員訴外元島維精(以下訴外元島という)及び同田口某に集まって貰い検討した結果、原告代表者の方から、前記予告登記が抹消されたら購入の話を進めて貰いたいとの意向が示されたこと、昭和五五年二月末頃、堀支店長、原告代表者、訴外庵下の三名が本件物件を見分するため現地に赴いたところ、訴外吉川ミツシ(以下訴外吉川という)が「宮崎衣料」という看板を掲げて本件建物を使用しており、調査した結果、訴外ヨシクニが訴外吉川に本件建物を賃貸していることが判明したこと、そこで、訴外庵下及び堀支店長は、訴外ヨシクニの代表者代表取締役である訴外吉国忠秀(以下訴外吉国という)に対し、訴外吉川との間の賃貸借契約を解除するよう申し入れたが、右解除及び本件建物の明渡が容易に実現できそうになかったことから、訴外庵下は、原告代表者に対し、本件物件の購入を断念して代わりにその近くの良い土地を買い求めるように勧め、堀支店長も、已むなく同様の勧めをしたが、原告代表者は、本件建物を除いても空地部分が広いので本件物件が是非とも欲しいと言い、購入の意思を変えなかったこと、売買交渉の過程で、本件物件の売買価格は金三〇〇〇万円とする前提で話合いが進められていたが、昭和五五年四月二日、原告代表者宅において、訴外吉国、原告代表者、訴外庵下及び堀支店長が集まって価格について交渉したところ、訴外吉国が、既に授受されていた手付金三〇〇万円を上乗せして金三三〇〇万円とすることを要求し、原告代表者が折れてこれを承諾したところ、訴外吉国は、さらに金一五〇万円の値上げを要求し、結局、原告代表者は根負けして代金三四五〇万円で本件物件の売買契約が成立したことが、それぞれ認められる。

これらの事情を考慮すると、本件物件の売買契約は、原告の利益と被告の利益とが合致し、原告の方も積極的に売買することを望んだ結果成立したものと認めるのが相当であって、被告が画策して原告に押し付けたものである旨の原告の主張は、採用することができない。

二  請求原因2(債務不履行)について

1  まず、永久井融資課長が、原告に対し、昭和五四年一二月一四日頃、金三〇〇〇万円を融資する旨約したか否かについて検討する。

昭和五四年一二月に、永久井融資課長が原告代表者を中金公庫宮崎支店へ案内し、原告が中金公庫から金三〇〇〇万円の融資を受けられることになったことは、当事者間に争いがなく、<証拠>によれば、その日は昭和五四年一二月一〇日であることが認められるが、原告は、さらに、原告代表者が中金公庫に対し融資を申し込んだのは金六〇〇〇万円であるところ、金三〇〇〇万円については中金公庫が融資し、残る金三〇〇〇万円については、右同日、被告が中金公庫と協調して融資することを約した旨主張し、原告代表者はその尋問(第一回)においてこれと同趣旨の供述をなし、訴外元島及び同庵下も当法廷においてこれに副う証言をしている。

しかしながら、被告と原告との取引状況について見るに、<証拠>によれば、原告は、従前の原告代表者の個人企業を会社組織に改め、昭和五三年一一月頃設立されたものであること、被告は原告に対し継続して貸付を行ってきたが、昭和五四年九月三〇日現在の貸出金総額は約金九一四〇万円で、信用金庫法の規定に由来する被告に対する右同日現在の貸出許容限度額は、金九六四六万四〇〇〇円であり、昭和五四年一二月三一日現在の貸出金総額は約金一億〇一〇八万円で、右同日現在の貸出許容限度額は金九七四八万八〇〇〇円であり、ほぼ限度額に近いかまたはこれを超える貸出がなされていたことが認められ、また、原告の財務内容について見ると、<証拠>によれば、原告の第一期(昭和五三年一一月一〇日から昭和五四年一〇月三一日まで)決算報告書中の損益計算書では、総売上高約金九一六五万円、売上総利益約金四六一九万円、一般管理費約金四一七三万円となっており、経常損益は約金三三万円の赤字で、割引手形分を含む総借入金約九九五七万円に対する借入金利息として約金四九九万円が計上されていたこと、右のような財務状況の中で、原告の被告に対する借受金債務の返済は、既に昭和五三年当時から滞り始め、原告は、昭和五四年三月、被告に対し、「事業計画と再検当願いの届」と題する書面を提出し、原料の値上がり等により売上げが少なくなったので債務返済の猶予ないし毎月の返済額の減額をお願いしたい旨申し出たが、その後も昭和五四年、昭和五五年と年を経るに従って延滞日数は増えて行く傾向にあったこと、原告の右書面による申出を受けた被告は、今後被告に対しては商業手形の割引には応ずるが新規貸付は行わないという方針を採ることにしたことが、それぞれ認められる。

それにも拘わらず、<証拠>によれば、被告は、昭和五四年七月頃、原告代表者から、「小林市大字真方字堅田原の本工場は、分譲住宅街の中心地で、道路も狭く、材料などの置場もなく不便で能率が上がらないので、小林市大字千石原に分工場を作りたい。土地売買契約も済んで手付は払ってあるので、分工場用地の取得資金を何とか融資して欲しい。」と泣き付かれたため、土地取得及び建物建築資金として金二二〇〇万円を融資したこと、この貸付金については、右土地、建物及びミシン等の機械一式を担保に徴求したが、支払は滞りがちであったことが認められる。

<証拠>によれば、被告の昭和五三年ないし昭和五五年当時の組織、機構は、本部と営業店とに二分され、本部は、理事長、総務担当常務理事、業務担当常務理事、総務部長、業務部長、検査部長、業務部次長、審査課長等の各課長、機械室長等から構成され、営業店は、本店と支店とに分かれていたこと、融資をするか否かを決定する場合には、両常務理事、業務部長、審査課長等が集まって審査会を開き、融資に対する理事長の決済を仰ぐことになっていたが、当時、押川公信理事長が長期入院して不在であったことがあり、この際には、山下実男総務担当常務理事が決済する場合と阿久根善次業務担当理事が決済する場合とがあったこと、営業店が独自に決定することのできる融資限度額は、本店が金五〇〇万円、各支店が金三〇〇万円であり、右限度額を超えて融資をする場合には本部の決済が必要であったこと、訴外永久井通雄は、当時、本店の融資課長であり、右機構に照らすと、永久井融資課長が原告に対し金三〇〇〇万円の融資を約束するためには、本部の決済を必要とすることが明らかであるところ、本部において右金三〇〇〇万円の融資の可否について審査した様子は全く窺われず、山下実男常務理事は、本部の入木俊昭代理業務課長及び永久井融資課長から、永久井融資課長らが原告に対し金三〇〇〇万円を融資する旨の約束をしたことはない旨の報告を受けていることが、それぞれ認められる。

また、原告は、中金公庫の原告に対する融資は被告からの融資と協調してなされることを前提とするものであったから、被告については、原告に対し、中金公庫からの融資がなされた時に金三〇〇〇万円を貸し付けるべき義務が生じたと主張し、<証拠>によれば、昭和五五年四月一五日、中金公庫と原告との間に金三五〇〇万円の金銭消費貸借契約が締結されたことが認められるが、山下証言によれば、協調融資は、中金公庫が被告に指示して行わせる場合はあるが、一般には多く行われるものではないことが認められ、本件全証拠によっても、被告の本部審査会において、被告が中金公庫と協調して原告に融資する案件が議題として採り上げられた形跡は、全く窺い得ないところである。

加えて、<証拠>によれば、本件物件については、昭和五五年四月一七日付で中金公庫を債権者として金三五〇〇万円の抵当権が設定されて担保余力は殆どないことが認められ、被告にとって他に価値のある担保物件もなく、被告からの借受金債務の支払も延滞している原告に対し、なお金三〇〇〇万円もの融資を約束するかは疑問であり、<証拠>によれば、被告は、原告に対し、昭和五五年二月二二日、宮崎県信用保証協会の保証の下に倒産防止対策資金五〇〇万円を融資し、昭和五五年四月九日、本件物件の購入資金を都合するため原告の従業員である訴外元島名義で金一四五〇万円を貸し出し、昭和五五年六月二四日、原告に対し金五〇〇万円を融資したことが認められるが、右いずれの時点においても、原告と被告との間で、原告の主張する金三〇〇〇万円の融資義務が問題とされた様子は全く窺われ得ない。

なお、原告は、昭和五四年一二月上旬頃、永久井融資課長から求められて、金六〇〇〇万円の借入申込書及び設備機械等の事業計画書を提出した旨主張し、証拠として甲第四六号証(借入申込書)第三二号証(事業計画書)、第三七号証(設備計画表)等を提出する。然るに、甲第四六号証は不鮮明な写しで、複写を繰り返して作成されたものであることが窺われ、右書証に対応する真正な借入申込書が存在するかどうかについては疑問があり、また、甲第三二、第三七号証については、永久井証言(第一回)によれば、昭和五四年一二月上旬頃、原告代表者がこれらの書類を持参して被告本店へ融資の相談に訪れたことが認められるが、原告代表者が、その尋問(第一回)において、右設備計画表中の「設備合計額三七八七万八〇〇〇円(借入三〇〇〇万円外自己資金)」と記載されている部分の説明を求められた際、「私としては、当時、設備の方は金三七八七万三〇〇〇円で出来る計画であった。このうち金三〇〇〇万円については被告が融資をして残りは自己資金を使う。私が中金公庫を訪ねたのは右金三〇〇〇万円の融資の関係である。工場用地として本件物件等の不動産を買う心算はなく、従って、不動産購入の資金については何も考えていなかった。」旨供述していることに鑑みると、右各書証をもって、原告が、被告に対し、金六〇〇〇万円の借入申込をしたことの証左と考えることはできない。

以上の事情を総合考慮すると、前記のとおり、被告側が本件物件の売却に利益関心を持ち、原告代表者の不動産の見分に立ち会うなど積極的姿勢を示していたこと及び永久井融資課長らが原告代表者を中金公庫に案内して融資交渉をするなど極めて協力的であったことから、原告側が被告からの融資を強く期待したことが窺われるが、他方、堀支店長、永久井融資課長らが、原告に対し被告から融資することを予定して行動していたかは疑問であり、また、原告代表者尋問(第一、二回)の結果及びこれと同趣旨の甲第七五号証並びに元島証言は、首尾一貫せず、曖昧な点が多く、容易く措信することができず、庵下証言及びこれと同趣旨の甲第一七号証のうち金三〇〇〇万円の融資に関する部分は、原告代表者からの伝聞に依る部分を伴っており、曖昧な点もあってにわかに措信することができず、他に原告の主張する如く、永久井融資課長らが原告に対し金三〇〇〇万円を融資する旨申し向けたことまたは被告が原告に対し金三〇〇〇万円を融資すべき義務を負うに至ったことを認めるに足りる証拠はない。

2  また、原告は、被告が原告に対し、本件建物についての訴外吉川の賃借権を責任をもって解消し原告の操業の妨げになることがないようにする旨約したにも拘わらず、これを履行しないため、訴外吉川に移転料として金八〇〇万円を支払わざるを得なかった旨主張するので、この点について少しく検討する。

昭和五五年二月末頃、原告代表者と訴外庵下及び堀支店長が本件物件の見分に出かけたところ、訴外吉川が本件建物を賃借して操業していることが判明したことは前記の通りであり、<証拠>によれば、右見分の際、訴外吉川の経営する「宮崎衣料」の工場長である訴外松永某から「この工場は、近々別な場所に移転するつもりです。そのための土地も確保してあります。」との説明を受けたため、原告代表者は訴外吉川が本件建物から退去することはそう遠いことではないであろうとの希望的観測をし、かつ、本件建物の敷地部分を除いても本件土地は広いのでその空地部分に工場を新築しても良いと考えて、本件物件を購入したいとの意思を変えなかったこと、訴外吉川は、その後も容易に立ち退かなかったが、訴外ヨシクニと原告は、昭和五五年四月八日、「賃借権の件は売主は借主に対し、即時賃貸借解除の通知をなす事。賃貸借料については別途(昭和五四年六月一六日付)賃貸借契約書の通り、五月分から新所有者に支払う」との特約を取り交わして本件物件の売買契約を締結したこと、右賃貸借契約書によれば賃料は一か月当たり金二五万円であることが、それぞれ認められ、本件物件の売買契約書中には、訴外吉川の立ち退きにつき被告が責任を負う旨の記載が全く存在しない。

なお、<証拠>(不動産売買契約書)中には「信用金庫堀支店長は売主の代理行為を行う」との特約事項の記載があるが、<証拠>によれば、右特約事項は、本件物件の売買契約成立後、訴外庵下が原告代表者の要望を受けて訴外ヨシクニ及び堀支店長に無断で挿入したものであるが、これとても、本件物件に設定されている抵当権の抹消について堀支店長が責任を負って欲しいとの趣旨で追加記載されたに過ぎないものであることが認められ、他に、被告が原告に対し、訴外吉川の賃借権を被告の責任において解消する旨約したことを認めるに足りる証拠はない。

3  さらに、原告は、被告の永久井融資課長が、昭和五五年一〇月上旬頃、原告に対し、金五〇〇〇万円を融資する旨約したと主張するので、この点について検討する。

<証拠>を総合すると、昭和五五年七月頃、原告代表者から被告に対し、金五〇〇〇万円を融資して欲しい旨の依頼があり、同年一〇月頃、永久井融資課長が宮崎市へ出向いて本件不動産を調査、確認したところ、担保価値が十分にあることが認められ、同年同月二三日頃、原告から被告に対し、手形決済資金、運転資金及び設備資金として金五〇〇〇万円の借入申込書が提出されたことが認められ、昭和五五年一一月一九日、本件不動産に本件根抵当権設定登記が経由されたことは当事者間に争いがない。

そして、原告は、右の各事実は、永久井融資課長が、昭和五五年一〇月上旬頃、原告に対し、不動産を担保に供すれば金五〇〇〇万円を融資する旨約したことに基づくものであり、被告においては、融資を決定する以前に根抵当権設定契約を締結することはなく、根抵当権設定登記手続をすることは融資決定がなされたことを前提とするものであるから、本件根抵当権設定登記手続の完了した昭和五五年一一月一九日には、被告は原告に対し、金五〇〇〇万円を貸し付けるべき義務を負うに至った旨主張し、原告代表者は、その尋問(第一回)において、右主張に副う供述をし、訴外元島及び同上原も、当法廷において同趣旨の証言をする。

しかしながら、<証拠>によれば、永久井融資課長が本件不動産の担保価値の調査、確認に赴き、本件根抵当権設定登記が経由されたのは、次の経緯によるものであることが認められる。

即ち、(イ)原告と被告との間で、昭和五五年七月頃から同年一〇月頃にかけて、原告の被告に対する毎月の返済額を減額するため、被告の原告に対する貸付金のうち四口分合計金四〇〇〇万円を一本化して長期分割払いとする旨の話合いが行われた。その際、原告から被告に対し、金一〇〇〇万円程度の運転資金が欲しいとの要望が出され、一本化した金四〇〇〇万円と運転資金一〇〇〇万円を合わせて金五〇〇〇万円とし、被告の支払保証の下に原告が訴外第一生命から金五〇〇〇万円の融資をうけ、その内金四〇〇〇万円を被告に対する債務の弁済に充て、残りの金一〇〇〇万円を原告が運転資金として利用する、原告は被告に対し別途追加担保を提供する、という方法が検討された。(ロ)そこで、原告は、右追加担保として訴外上原所有に係る本件不動産を提供することを提案し、被告の永久井融資課長は、昭和五五年一〇月頃、本件不動産の担保価値を調査するため、宮崎市まで出かけた。(ハ)昭和五五年一〇月三〇日、原告代表者が訴外上原と一緒に被告本店を訪ね、村西本店長及び永久井融資課長に対し、月末の手形決済資金一三〇〇万円が足りないので融資して欲しい旨申し入れた。これに対し、永久井融資課長は、原告が債務の支払を延滞し、かつ、前記金五〇〇〇万円を借入れる案も検討中であるから融資することは難しいが、一応本部の審査を受けてみると返答して申込書を提出させ、借入れに必要な書類を交付した。(ニ)その際、訴外上原が同道していたため、永久井融資課長は、原告の前記金五〇〇〇万円の借入れにつき被告が保証する旨の本部決定があった場合に備え、訴外上原に対し、保証意思を確認するため、根抵当権設定契約書や担保提供承諾書等に署名することを求めた。そして、永久井融資課長は、原告代表者に対し、被告が金五〇〇〇万円の借入れにつき支払保証する旨の本部決定がなされたときに根抵当権設定登記手続をとるように申し向けて、右登記手続をするために必要な書類を交付した。(ホ)原告の前記金一三〇〇万円の手形決済資金の依頼は、昭和五五年一一月一日、被告の本部において否決され、また、原告の前記金五〇〇〇万円の借入れにつき被告が支払保証をする案も、昭和五五年一一月二九日、被告の本部において否決された。永久井融資課長は、右同日、被告本店に来ていた原告代表者に対し、その旨伝えた。そして、永久井融資課長が、原告代表者に対し、先に交付した本件根抵当権設定登記手続に必要な書類の返還を求めたところ、既に本件根抵当権設定登記の経由されていることが判明した。

以上のとおり認められる。

ところで、改めて、当時の被告と原告との取引について見るに、<証拠>によれば、被告の原告に対する貸付金は、昭和五五年九月三〇日現在で貸出金合計が約金七三九五万円、右同日現在の貸出許容限度額が金一億一二八〇万九〇〇〇円、昭和五五年一二月三一日現在の貸出金合計が約金七九三八万円、右同日現在の貸出許容限度額が金一億三三三九万三〇〇〇円であることが認められるが、他方、原告の当時の財務内容について見るに、<証拠>によれば、原告の第二期(昭和五四年一一月一日から昭和五五年一〇月三一日まで)の決算報告書中の損益計算書では、総売上高約金一億五二二〇万円、売上総利益約金八九〇九万円、一般管理費約金八三九六万円で、経常損益は約金九万六〇〇〇円の黒字となっているが、割引手形を含む総借入金約金一億五七三八万円に対する支払利益は約金六四三万円しか計上されておらず、かつ、原告の被告に対する殆どの債務の支払は遅滞している状況にあったことが認められ、前記貸出許容限度額と現実の貸出金額との差は約金三四〇〇万円ないし約金三九〇〇万円あるが、右財務内容及び債務返済状況に照らすと、前記第一期決算期当時と比較して、原告の業績が特に好転したと言うことはできない。

また、<証拠>によれば、本件根抵当権設定登記は、昭和五五年一二月二二日に、同年同月三日解除を原因として抹消されたこと、原告と被告は、昭和五五年一二月二九日、原告の被告に対する借受金債務につき、延滞となっている四口分をまとめて合計金四三〇〇万円の債務とし、毎月の返済額を減額して長期貸借に変更する旨合意したこと、原告代表者は、被告に対し、昭和五六年六月二三日に「割引手形延期切替願い書」と題する書面を、同年一一月二五日に「変更許可願書」と題する書面を、それぞれ提出し、右各書面において、原告の受取手形の回収困難または業績の不振から被告に対する債務が思うように返済できないため、何とか支払の猶予ないし減額をして欲しい旨平身低頭してお願いしていることが、それぞれ認められる。

然るに、いずれの時点においても、被告の原告に対する金三〇〇〇万円または金五〇〇〇万円の融資義務の問題が採り上げられたり、または取沙汰されて原告と被告との間が紛糾したような形跡は、本件全証拠によるも全く窺い得ないところである。

これらの事情及び前記被告の組織、機構、永久井融資課長の融資裁量限度額を総合考慮すると、原告が被告の支払保証の下に訴外第一生命から金五〇〇〇万円の融資を受ける案と別個独立に、永久井融資課長が原告に対し金五〇〇〇万円を融資をする旨申し向けたことは認め難く、前記原告の主張に副う原告代表者尋問(第一、二回)の結果及び証人上原忠雄、同元島維精の各証言並びにこれらと同趣旨の甲第一八、第七五号証の各記載内容はいずれも措信することができず、証人三住勉の証言も曖昧であって採用することができず、他に右金五〇〇〇万円の融資約束を認めるに足りる証拠はない。

三  請求原因3(不法行為)について

被告が、訴外えびのソーイングに対する約金二〇〇〇万円の貸付金債権を回収しようとして、根抵当権を設定していた本件物件を第三者に任意に売却しようと努力していたことは、既に認定したとおりであるが、他方、永久井融資課長が、原告代表者に対し、昭和五四年一二月一〇日頃に金三〇〇〇万円を、昭和五五年一〇月上旬頃に金五〇〇〇万円をそれぞれ貸し付ける旨申し向けたことを認めるに足りる証拠がないことも前記のとおりであり、従って、永久井融資課長が右各金員を融資する旨の甘言を弄して原告代表者を欺罔した旨の原告の主張は、採用することができない。

また、原告は、昭和五四年一一月末頃、本件物件の所有者及び負担の有無等を調べるため、登記簿謄本を見せるように要求したところ、堀支店長及び永久井融資課長は、これを拒否し、かつ、本件建物を訴外吉川が賃借して操業中であり、同訴外人が容易に立ち退かない事情を知りながらこれを隠そうとしたと主張するが、前記の本件物件の売買契約の経緯に付いて認定した事実、<証拠>を総合すれば、本件物件を原告に斡旋し、売買契約締結に至るまで原告側に立って関与してきた訴外庵下は、昭和五五年一月頃、堀支店長から本件物件の登記簿謄本を示されていることが認められ、原告代表者も、本件物件の売買契約が締結された昭和五五年四月八日までには、本件物件の所有者、その負担等及び訴外吉川が本件建物を賃借していて容易に立ち退きそうになかったことを、総て知っていたことは明らかであると言うべきである。

四  結論

よって、原告の請求は、その余の点について判断するまでもなく、いずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して、主文の通り判決する。

(裁判官 山内昭善)

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